「看護学校を辞めてしまったら、もう看護師にはなれないのだろうか」
私自身、そう思っていました。
実際に私は看護学校を中退しています。
当時は実習についていけず、毎日のように悩み、自分が看護師になれる未来など全く想像できませんでした。
しかし、その後回り道をしながらも、准看護学校、進学課程へと進み、最終的には看護師になることができました。
この記事では、看護学校を中退した私が、5年かけて看護師になるまでの体験をお話しします。
今、実習が辛い人や退学を考えている人の参考になれば幸いです。
看護師を目指したきっかけ
私が看護師に興味を持ったのは、6歳の頃の出来事がきっかけでした。
母親が末期の胃がんで亡くなったのです。
幼かった私にとって、病院は怖い場所でもありましたが、その中で患者さんの一番近くにいる存在が看護師でした。
どんな会話をしていたのかは覚えていません。
それでも、患者さんのそばにいて支えている姿は子どもながらに印象に残っていました。
また、将来のことを考えた時に「手に職をつけたい」という思いもあり、看護師を目指すようになりました。
最初の看護学校で挫折した
しかし、看護学校に入学してからは想像以上に苦しい毎日でした。
私はもともと極度の緊張や不安を抱えやすい性格でした。
周囲と比べて頭の回転も良い方ではないと感じており、常に焦りを抱えていました。
実習が始まる前から、
「本当にやっていけるのだろうか」
という不安がありました。
そして実習が始まると、その不安はさらに大きくなりました。
実習記録は訂正の青ペンだらけでした。
「根拠がない」
「なぜそう考えたのか」
と何度も指摘されました。
私は患者さんの症状や個別性に応じた看護を考えることが苦手でした。
当時は、
「とにかく記録を書いて、実習を休まずに行けば合格できる」
くらいに考えていたのです。
しかし実際は違いました。
看護師として患者さんを理解し、その人に合った看護を考えることが求められていました。
私はそこについていけませんでした。
病棟に行かせてもらえなかった日もあった
実習中は毎朝、病棟で実習目標や行動計画を発表していました。
しかし、その後に担当教員から細かくチェックを受けます。
実習目標や行動計画、その根拠が不十分だと判断されると修正を求められました。
修正が終わるまでは病棟へ行かせてもらえません。
私は何度もその場で止まりました。
控室で一日過ごしたこともあったと思います。
同級生が病棟で実習している中、自分だけがそこへ行けない。
その時間は本当に辛かったです。
睡眠不足のまま実習へ向かう毎日
実習記録も大きな負担でした。
何を書けば良いのか分からない。
それでも提出しなければならない。
だからとにかく文章を書き続けました。
夜10時頃から記録を書き始めることもありました。
しかし疲れているので途中でうとうとしてしまいます。
気が付けば深夜。
それでも終わりません。
朝5時になっても、その日の実習目標が決まらないこともありました。
ヘンダーソンの情報アセスメントも十分に書けていませんでした。
毎日が睡眠不足。
実習へ行く朝は憂鬱で仕方ありませんでした。
今振り返っても、かなり追い詰められていたと思います。
実習へ行きたくないほど追い詰められていた当時の心境については、こちらの記事でも詳しく書いています。
▶看護実習に行きたくない朝|限界だった私が感じていたこと
退学を決意した理由
実習を重ねても状況は改善しませんでした。
再実習の評価ばかりが返ってきます。
周囲の同級生は次々と実習をクリアしていきます。
自分だけが置いていかれるような感覚でした。
情けなさや悔しさもありました。
それ以上に、
「もう何をしたら合格できるのか分からない」
という状態になっていました。
鬱症状も強くなっていました。
表情もなくなり、気持ちは沈む一方でした。
看護師になれる自信もなくなっていました。
そして次第に、
「実習から解放されたい」
という気持ちの方が大きくなっていったのです。
当時の私は、実習から解放されたいという気持ちでいっぱいでした。
ただ、今振り返ると、もっと相談したり、休学などの選択肢も考えられたかもしれません。
看護実習を辞めたいと思ったときに考えてほしいことについては、こちらの記事でまとめています。
▶看護実習を辞めたいと思ったときに考えるべきこと【後悔しない判断基準】
退学の日のこと
退学を決めた日も、今でも何となく覚えています。
みんなは授業を受けていたと思いますが、私は少し遅れて学校へ向かいました。
退学の意思は事前に伝えていたため、その日は退学届を書くために学校へ行きました。
図書室で退学届に名前を書いたことを覚えています。
昼休みだったのか、下級生が図書室へ本を借りに来ていました。
図書担当の先生も声をかけてくれたような気がします。
ただ、その時の私は周りを見る余裕はありませんでした。
下級生を見ながら、
「自分はもう辞めるんですよ」
そんな気持ちを抱いていたことだけは覚えています。
その後、教室でクラスメイトに最後の挨拶をしました。
前に立ち、マイクを持って話しました。
何を話したかは細かく覚えていません。
ただ、
「みんなと一緒に卒業したかった」
という気持ちはあったと思います。
とにかく悔しくて 大泣きしていた。
情けなかった。
あの日は人生で一番悔しかった日の一つかもしれません。
中退後は看護師を諦めていた
学校を辞めると、実習から解放された安心感はありました。
あれほど苦しかった毎日が終わったのです。
気持ちは少し落ち着きました。
その後、職業訓練校へ通うことを決めました。
入学試験を受け、半年間通いました。
勉強内容に特別興味があったわけではありません。
とにかく資格を取って就職したい。
その一心でした。
訓練校のクラスメイトには、自分が看護学校を退学したことも話していました。
当時はすでに退学した事実を受け入れていました。
悔しさは残っていましたが、
「もう一度看護師を目指そう」
という気持ちはありませんでした。
看護師になる夢は終わったと思っていたのです。
人生を変えた看護部長との出会い
職業訓練校を卒業する頃、いくつか面接を受けました。
しかし思うようにはいきませんでした。
資格を取得しても、即戦力として働けるわけではありません。
採用された会社もありましたが、条件面で納得できませんでした。
飲食店にも採用されましたが、そこで働く気持ちにはなれませんでした。
そんな中で、
「介護の仕事をしてみよう」
と思うようになりました。
看護学校に3年近く通っていたこともあり、医療や介護には興味が残っていたからです。
そこで、ある病院の面接を受けました。
面接担当は看護部長でした。
私は自分のこれまでの経歴を正直に話しました。
すると、その看護部長はこう言いました。
「ここよりも、あなたの家から近い精神科病院があるよ」
「そこは准看護学校に毎年学生を出している」
「そこの看護部長に連絡を取ってあげる」
まさかそんな話になるとは思っていませんでした。
今思えば、この出会いが私の人生を大きく変えました。
精神科病院で働きながら新しい道へ
翌日、紹介された精神科病院の面接を受けました。
そして働くことになりました。
しかし、決して順風満帆ではありませんでした。
以前は看護学生だったということもあり、
「生意気だ」
と思われたのか、上司との関係で苦労した時期もありました。
それが本当に辛かったです。
また、自分の中には
「本当は看護師を目指していたのに」
という気持ちもありました。
介護の仕事を教わることに少し抵抗があったのも事実です。
それでも耐えました。
一年後には准看護学校へ進学する。
その目標だけは持ち続けていました。
働きながら5年間学校へ通った
その後、准看護学校へ進学しました。
准看護学校の2年間。
そして進学課程の3年間。
合計5年間です。
実習期間以外は働きながら学校へ通いました。
今振り返っても大変な生活だったと思います。
特に大変だったのは 週一回の戻り夜勤です。
日中は学校があります。
朝から授業を受けます。
午後まで授業を受けて、16時10分頃に終了。
そこから急いで車で病院へ向かいます。
そして夜勤が始まります。
仮眠は深夜2時頃。
あれは本当にしんどかったです。
朝からずっと憂鬱でした。
それでも続けました。
准看護学校の頃は比較的楽しく学ぶことができました。
一度挫折を経験していたこともあり、以前より余裕を持って勉強できたと思います。
しかし進学課程は簡単ではありませんでした。
理解力も必要です。
勉強量も増えます。
友人や先生に助けてもらいながら何とか卒業までたどり着きました。
ついに看護師になることができた
最初の看護学校を辞めた時、
自分が看護師になれるとは思っていませんでした。
むしろ看護師になる夢は終わったと思っていました。
それでも回り道をしながら、一歩ずつ進みました。
准看護学校。
進学課程。
精神科病院での勤務。
多くの人に支えてもらいながら、ようやく看護師になることができました。
今振り返ると、本当に運が良かったと思います。
もしあの一般病院の看護部長が精神科病院を紹介してくれなかったら。
もし精神科病院が受け入れてくれなかったら。
私は看護師になれていなかったかもしれません。
今、実習で悩んでいる人へ
実習の辛さは人それぞれです。
知識を覚えるのが得意な人もいます。
適応力が高い人もいます。
一方で、私のように緊張や不安が強く、実習で苦労する人もいます。
だからこそ、一人で抱え込まないでほしいと思います。
教員に相談する。
クラスメイトに相談する。
参考書を買う。
勉強時間を確保する。
心療内科へ相談する。
頼れる人を見つける。
そういった行動も大切です。
そして、もし行き詰まったとしても、すぐに退学を決める必要はありません。
休学もあります。
留年もあります。
環境を整えてから再挑戦する道もあります。
正直に言うと、私はもう少し周囲に頼れば良かったと思っています。
看護学校を辞めると、資格は残りません。
医療や看護の知識が少しあるだけの人になります。
だから、続けられる可能性があるなら続けてほしい。
それが本音です。
それでも私は退学しました。
そして遠回りをしました。
レギュラーの看護学校を3年生の途中で退学し、その後、准看護学校2年、進学課程3年を経て看護師になりました。
あの頃は情けない気持ちばかりでした。
しかし今は違います。
よく最後まで諦めずに卒業できたなと思います。
遠回りだったかもしれません。
でも、あの5年間があったから今の自分があります。
そして今は、看護師になれたことを誇りに思っています。
看護学校を中退した後の進路については、こちらの記事にまとめています。
▶看護補助として働きながら准看護学校に進んだ話|中退後の私の再出発
また、看護学校を中退しても看護師になれるのか不安な方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
▶看護学校を中退しても看護師になれる?
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